あさひ学園 - Asahi Gakuen文科省・外務省支援
ロサンゼルス補習授業校

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卒業生・同窓生便り

第四十七回 堀口 佐知子 さん

Sachiko Horiguchi

堀口 佐知子さん略歴
1985年6月あさひ学園パサデナ校 小4から中1まで在籍
1998年3月上智大学文学部英文学科卒業
2001年9月英国ウォーリック大学大学院
 英語教授法専攻修士課程修了
2003年6月英国オックスフォード大学大学院
 社会人類学専攻修士課程修了
2006年6月同大学大学院博士課程修了
現在テンプル大学ジャパンキャンパス
 学部課程文化人類学 准教授

「文化のはざまで生きること」に誇りをもって

先日、30年ぶりに本校を訪ねてくださり、現在大学の文化人類学の准教授としてご活躍の堀口佐知子さんにお話を伺いました。

あさひ学園で3年半在籍されたとのことですが、どのようなご事情で本校で学ばれることになったのですか?

父がロサンゼルスに駐在となり、家族でロサンゼルスに移り住みました。親の方針で、平日は現地校、土曜日はあさひ学園に通うことになりました。

あさひ学園では、どのような生徒でしたか?

もともとリーダーシップをとるタイプではないので目立つ生徒ではなかったと思いますが、自分なりに真面目に勉強していました。あさひ学園に通った人はみな経験したでしょうが、金曜日の夜宿題が終わらなくて泣きそうになりながら頑張ってこなしていた思い出があります。
英語が全然できない状態で現地校に入ったので、最初の頃は両立の大変さというより「ほっとする空間」としてのあさひ学園が先に立っていたと思います。
まわりの子には現地校とあさひ学園に加えて通信教育もやっているという子も多かったようです。でも、私(と兄)は通信教育はやっていなかったので、他の子よりは少し楽だったのではないかと思います。4教科あって宿題が多くて大変な思いをしましたが、学校を「やめたい」と思ったことはありませんでした。「あさひ学園に通っていたおかげで日本語をあまり忘れずにいた」と、今は感謝しています。

どんなことが思い出に残っていますか?

先生を囲んでお昼を食べたことや、運動会が思い出に残っています。日本では女子校に通っていたので経験することがなかった騎馬戦やフォークダンスが懐かしいです。
また、あさひ学園で書いた作文を日本語ラジオ番組で朗読させていただく機会があり、良い思い出になりました。作文の内容は、「アメリカに来た当初は言葉や習慣の違いに苦労し、その後は現地校とあさひ学園の両立に苦労したけれど、よき先生に恵まれて乗り越えていくことができたこと」に対する感謝だったと思います。

あさひ学園で学ばれたことが、あなたにどんな影響があったとお考えですか?

日本文化・社会について研究し教育する文化人類学者になりましたが、外からみた日本を意識するようになった原点は、あさひ学園を含めたロサンゼルスでの経験が大いにかかわっていると思います。渡米前には、自分が「日本人」であるということを意識することはありませんでしたが、ロサンゼルスでは、言葉や外見や食習慣などの面で、自分が「日本人」であるということを強く意識するようになりました。そして、自分にとっての「ミニ日本」であったあさひ学園は、日本語を話し、日本の教科書を使って学び、ラジオ体操をしたりすることができる<アメリカにいながら「日本」を再体験できる貴重な場>だったと思います。
また、アメリカの子どもたちと同じ教育を受けることができたのに加えて、あさひ学園で日本の子どもたちと同じ教育を受けることができ、日本とアメリカ両国に足場を置いている友達や先生方に刺激を受けたことが、日本とアメリカの架け橋のような今の職場での仕事の下地になっていると思います。

帰国後もあさひ学園のお友達と連絡を取っていますか?

帰国後は、帰国子女の受け入れ校ではない学校に戻りました。当時はメールなどもなかったこともあり、残念ながら、あさひ学園時代の友達で今連絡を取っている人はいません。もしこの記事を機に当時の友達と連絡を取れたら、ぜひ再会して、お互いこれまでどうしてきたのかを分かち合ってみたいです。

学ばれた大学のこと、大学院のことをお聞かせください。

ロサンゼルス時代に身に着けた英語の力を伸ばしていきたいという思いから、高校3年生の時に、語学に強く、国際的なイメージがあり、帰国子女も多かった上智大学文学部英文学科で学ぶことを決めました。大学、学部共に自由に学べる雰囲気があり、心を通わせられる友達にも恵まれ、充実した大学生活だったと思います。大学生時代に、その後留学することになるイギリスを身近に感じられるようになり、一般教養のゼミを通して、深いことを語りあったり、時間を共有できる個性的な友人や先輩後輩に出会えることができました。旅行が好きなので、長期の休み中にはよく旅をしました。
卒業後一般企業に就職したのですが、もともと言語習得などに興味があり、英語を教えるのは好きだったということ、英語をストレートに生かす仕事につきたいという思いから、大学院で英語教授法を学ぶことにしました。生活のなかで英語を使う環境に再び身を置きたい、また、以前暮らしたアメリカとはまた違う英語圏での生活を経験したいという思いもあり、英国ウォーリック大学大学院に留学しました。この大学は、イギリスでは評価の高い大学で、教授経験がなくても入学できる英語教授法コースがありました。エッセーなど非常に丁寧に採点し、コメントをしてくださる、教育者として人間的にも尊敬できる素晴らしい先生方から教えていただき、また、寮生活の中で、さまざまな国から来ている友人たちと深い付き合いができました。
修士課程を修了後、オックスフォード大学大学院で社会人類学専攻修士および博士課程に進みました。社会人類学を選んだのは、留学しているうちに異文化の理解を目指す人類学に関心を持ったこと、英語教授法の分野で人類学・社会学に近いところにある「談話分析」という分野に関心を持ったこと、オックスフォードの先生の帰国子女についての社会人類学研究が自分のロサンゼルスでの経験やその後と結びつき、関心を持ったからです。
オックスフォードは魅力的な大学町で、オックスフォード大学は歴史ある大学です。(専攻とは別に生活の空間としてカレッジに所属する)カレッジ制度や(教授に毎週エッセーをあらかじめ提出し、1時間ほど少人数か1対1で議論して学ぶ)チュートリアル制度などの伝統があり、世界中から集まった優秀な仲間と共に勉強できました。

大学や大学院では、どんな学生生活をお過ごしでしたか?

学部時代は、英語スピーチをするサークルに参加していました。ロサンゼルスの小学校ではスピーチをする機会が沢山あったのですが、その経験を発展させることができて面白かったです。一般教養のゼミでは、合宿もしました。
留学時代は決まったサークルには入りませんでしたが、学ぶことの喜びを感じるとともに、映画鑑賞、ミュージカル鑑賞、ダンスやスカッシュなどを楽しみ、寮やカレッジなどで、さまざまな分野を専攻する友達と食事しながら時間を忘れて語り合ったのは楽しい思い出です。

現在のお仕事について、お聞かせください。

2011年エストニアで開催された日本研究学会で

<2011年エストニアで開催された日本研究学会で>

今はアメリカのテンプル大学ジャパンキャンパスで文化人類学や日本社会について教え、日本社会にかかわるさまざまなテーマ(たとえば、日本における外国語教育や、若者のメンタルヘルスの問題など)について研究しています。本校はフィラデルフィアにあるのですが、日本校はアメリカ本校と同じカリキュラムで、クラスはすべて英語で教えています。学生はアメリカ人が40%、日本人が30%、そして、その他世界各国からの学生やミックスルーツの学生も多くいます。多様な背景を持った学生たちとともに、文化人類学のテーマである「人間とは何か」、「文化とは何か」ということについて考えることには、私自身学ぶところが多く、楽しく仕事をしています。

将来に対して、どんな夢や抱負をお持ちですか?

今、世界中で、人々が分断している現実を目の当たりにして、「どうしたら人々が分断を越えて繋がり、お互いに理解を深めていけるのか考えて行動しなければいけない時がきている」と日々感じています。「分断を乗り越えていくために何かできれば…」と思っています。

最後に、後輩たちへのメッセージをお願いします。

当時の担任、蓮見先生を30年ぶりに訪問

<当時の担任、蓮見先生を30年ぶりに訪問>

2つの学校に同時に通うのは、とても大変なことだと思いますし、文化のはざまで生きるのは必ずしも居心地のよいものではないかもしれません。くじけそうになる時もあるでしょうし、親に言われてあさひ学園に通っているけれど、何のためになるのだろう、と悩むこともあるかと思います。私自身もそう思うことがありましたが、ロサンゼルスの真っ青な空のあたたかさにも助けられて、「あさひ学園を続けられて、本当によかった」と今思っています。「文化のはざまで生きること」「日本語と英語(ともしかしてほかの言語)で自分を表現できること」に誇りをもって生きていってほしいと思います。
今年ほぼ30年ぶりにロサンゼルスを訪れ、あさひ学園サンゲーブル校とサンタモニカ校にもお邪魔させていただきました。当時の担任の先生にお会いでき、スタッフの方や先生方にあたたかく迎えていただきました。また、元気いっぱいの後輩たちの姿に触れることもでき、とても懐かしく感慨深い思い出となりました。

30年ぶりに当時の先生を訪ねてくださり、ありがとうございました。それを機にお話を伺えたこと、嬉しく思います。あさひ学園での経験を次のステップに生かされた興味深いお話でした。これからのご活躍を応援させていただきます。

参考:https://www.tuj.ac.jp/ug/index.html(テンプル大学ジャパンキャンパス)
   https://www.tuj.ac.jp/ug/about/faculty/horiguchi-sachiko.html(堀口さん紹介サイト)

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