あさひ学園 - Asahi Gakuen文科省・外務省支援
ロサンゼルス補習授業校

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卒業生・同窓生便り

第四十四回 杉田 大樹 さん

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杉田大樹さん略歴
2014年3月 あさひ学園サンタモニカ校高等部卒業
(現地校)Los Angeles Center for Enriched Studies
現在 ニューヨーク大学アブダビ校2年在籍
http://nyuad.nyu.edu/en/

バイリンガル、その先にあるもの

あさひ学園サンタモニカ校高等部を卒業後、現在はニューヨーク大学アブダビ校の2年生である杉田大樹さんにインタビューをさせていただきました。

あさひ学園での勉強や生活についてお聞かせください。あさひ学園には、どのような経緯で入学されたのですか?

私はロサンゼルスで生まれ育ちました。アメリカに長期滞在予定でしたので、私と弟に日本語をしっかり学んで欲しいという両親の思いから、小学校1年生から高等部卒業までの11年間をあさひ学園で学びました。

あさひ学園の勉強に対して、どのように感じましたか? 

あさひ学園の勉強では、私は特に「漢字」と「音読」に力を入れていました。「漢字」を頑張ったことは、国語だけでなく、理科や社会などすべての教科の助けになりました。「音読」は日本語の語彙を増やすことに役に立ち、日本語での滑舌も良くなった気がします。あさひ学園で習う算数(数学)や理科は、同じ内容を英語と日本語で学ぶことにより理解が深まり、現地校の学習にも役に立ちました。また、日本史や地理を習うことで、日本についての知識が広がりました。

あさひ学園と現地校との両立は大変だったと思いますが、どうでしたか?

運動会の様子

<運動会で南中ソーラン演技>

月曜日から金曜日まで現地校で英語で学習し、土曜日はあさひ学園で日本語で学習する、二つの学校の勉強を11年間やり続けることは簡単なことではありませんでした。しかし、大変だと思う気持ちよりも、あさひ学園の友達と一緒に学びたい、遊びたいという気持ちのほうが大きかったので、最後まで頑張ることができました。高等部卒業の時には、達成感がありました。
秋の運動会が楽しいことはもちろんですが、毎週の授業日に、友達と何気ないおしゃべりをすることや、グループ学習も楽しく、あさひ学園で過ごした時間は、私にとってはかけがえのないものです。
小学校低学年の頃には、休み時間になると走って図書室に行き日本語の本を読みあさったり、中学の期末テスト前には、クラスのみんなと一緒にスカイプを使って夜遅くまで試験勉強をしたことも、楽しい思い出です。
あさひ学園の先生との交流も、とても楽しい思い出です。先生方は、現地校とあさひ学園の両方を頑張る私達を理解して下さり、いつも、温かく励まして下さいました。先生方からは、勉強だけでなく、人生の先輩として、日本の日常のことやアメリカや世界での体験談を聞かせていただきました。これらはとても刺激的であり、私の視野を広くしてくれたと思います。

高等部で学んだことについて、どのように感じていますか?

高等部での学習は単に問題集の宿題ではなく、小論文の書き方、弁論大会への参加、名作の読解、履歴書の作成など、社会に出て役立つものでした。小学部や中学部の頃はひたすら問題集の宿題をやりましたが、この基礎学習があってこそ、高等部での「自分で考えて、日本語でまとめる学習」につながったのだと思います。
高等部での学習はあさひの日本語学習の総仕上げという感じで、子供の日本語から大人の日本語へとレベルを押し上げてもらいました。

あさひ学園で知り合ったお友達に対する思いを聞かせください。

京都旅行

<あさひ学園高等部同級生と京都へ>

あさひ学園では一生の友達ができると聞いていましたが、それは本当です。私は、あさひ学園の友達と共に成長してきた気がします。 日本人なのかアメリカ人なのかというアイデンティティークライシスで悩むことがなかったのも、あさひ学園という自分の居場所があったからかもしれません。 あさひ学園の中学二年生からは現地校でも高校生になり、部活やボランティア、進学準備などで忙しく、睡眠時間も削るほどです。そんな忙しい中でも、土曜日にあさひ学園で先生や友達に会い日本語で勉強することは、ストレス解消になりました。卒業後に、あさひ学園の友達と京都旅行をしたことは、とても良い思い出です。

ニューヨーク大学アブダビ校を選択された理由を教えてください。

私は建築家志望で、当初はアメリカの大学の建築学科に進学を希望していました。しかし、初めてアブダビに行き、私の想像を超えた町の様子に驚き、考えが変わりました。アブダビは、アラブ独特の歴史ある文化を大切にしつつ、世界中の良いところを取り入れた町並みで、映画の未来都市のようでもあり、とても刺激的な都市です。私は、もっと世界を知りたいと思い、アブダビで学ぶことを決めました。この大学には建築学科はないので、現在はコンピューターサイエンスを専攻しています。

あなたが学ばれている大学は、どのような学生が学んでいるのですか?

正解各国からの大学の友人と

<世界各国から入学した大学の友人達>

世界約100カ国の国や地域から学生が集まり学んでいます。各国からの学生数は2~3人づつと均等であるため、先進国や発展途上国の区別なく、それぞれの国の文化や考え方を偏りなく受け入れることができます。学生たちは視野が広くユニークで、友達からも多くの刺激を受けています。ほとんどの学生が二言語以上を習得しており、三ヶ国語、四ヶ国語を習得している人も多数いるから驚きです。学生たちは皆フットワークが軽く、観光旅行やインターン、就職と、世界中を飛び回っています。私も中東内を研修旅行したり、春休みは欧州を観光旅行し、夏休みには東京の建築設計事務所でインターンをしました。

実際に日本社会で働かれて、どのようなことを感じましたか?

建築の模型作り

<建築の模型作り>

今回、初めて日本で一人住まいをしました。東京は、祖父母が住み何度も滞在しているので、よく知っているつもりでしたが、マンションを借り生活基盤を整えることは、思っていた以上に大変でした。また、仕事では、日本語や日本の常識は知っていて当たり前、日本の生活に慣れていて当たり前ですから、知らないことは私の問題であり、失敗したり、調べたりして時間がかかりました。ある時、電車に乗ったら乗客の視線を感じ、そこは女性専用車両でした。マンションでお湯の主電源があることを知らず、最初の数日は水シャワーを浴びていました。仕事で「横浜のイメージでデザインを考えて下さい。」と言われても、日本人が横浜にどのようなイメージを抱いているのかわかりませんでした。このような失敗は数え切れません。新しい場所で生活基盤を整え仕事で成果を挙げることがどんなに大変なことか知りました。

私は、仕事をしている時に、あさひ学園の先生からのアドバイスを思い出しました。先生はよく私達に、「日本語と英語ができるだけでなく、自分にしかできない特技を身につけて、スペシャリストになりなさい。」とおっしゃっていました。そのとおりだと思いました。あさひ学園を卒業した私は、まだスタート地点に立ったばかりです。自分にしかできない特技が何であるかも定まっていません。インターンとして働き、建築設計の仕事の進め方を学んだことはとても勉強になりました。しかし、一番良かったことは、仕事を通じて自分と向き合うことができたことです。何もできない自分を見つめ、何がしたいのか、どんな自分になりたいのか、考える機会となりました。
また、日本で働く場合には、日本独特の気配りがとても大切であることも学びました。職場の皆さんは相手の意見を尊重し、いつも周りに気を配っていました。そのおかげで、とてもチームワークが良く、居心地の良い職場でした。この日本独特の気配りは、世界に誇れる素晴らしいことだと思いました。私には難しいですが、空気を読んで気配りが自然にできるようになることも、私の目標の一つに加わりました。

忙しく過ごされていることと思いますが、あなたの趣味について聞かせてください。

茶道のお点前

<茶道のお点前>

10歳の頃にあさひ学園の同級生の勧めで茶道を習い始め、現在も続けています。私の滞在しているアラブ首長国連邦は親日家が多く、首都アブダビには現地の人が学ぶための裏千家茶道教室があります。日本文化の紹介や国際交流の目的を兼ねたこの教室で、私は、先生のアシスタントとして、現地の人に茶道を教える手伝いをさせていただいています。
茶道を習っていたことに加え、日本語と英語ができるからということで、この機会をいただきました。現地の人と茶道を通じて交流することはとても楽しく、また、外国人が日本文化を熱心に学ぶ姿を見ると、私自身も日本のことをもっと学びたいという気持ちになります。
あさひ学園で学んだ日本語と、茶道で学んだ日本の精神、この二つが相互に良い影響を及ぼし、私の人生にいろいろなチャンスを与えてくれています。

将来に対して、どんな夢や抱負をお持ちですか?

将来は建築家になりたいと思っています。そのために、大学院で学んだり、就職して経験を積むことも考えています。建築は、様々な学問や知識、経験の融合が大切なので、建築分野以外のことにも好奇心を持ち、見聞を広めたいと思っています。
茶道や日本にかかわる勉強は、これからも続けていきたいと思っています。

最後に、後輩たちへのメッセージをお願いします。

私は、あさひ学園や現地校で、日本とアメリカの言葉や文化、考え方の違いを体験しながら育ちました。二つの国の違いを知ることを通じて、いつの間にか、他人と違う自分を受け入れ、相手を受け入れることができるようになった気がします。あさひ学園に通ったことで、日本語や日本文化を習得できたことはもちろん良かったですが、本当に良かったことは、この「違うことを受け入れる柔軟な心」を身につけることができたことかもしれません。自分と相手との違い、過去と現在の違い、習慣や文化の違いなど、違いを問題視するのではなく、興味を持って受け入れることができると、どんな環境においても、自分らしく力を発揮することができ、可能性も広がると思います。
在校生の皆さんは、すでに、違いを受け入れる柔軟な心を持っています。現地校とあさひ学園の二つの学校に通うことは、宿題も二倍で大変だと思います。しかし、友達や先生との出会いも二倍あり、楽しいことやチャンスは、二倍以上に広がります。バイリンガル、バイカルチャーを超えてグローバルシチズンとして世界に飛び出していきましょう。私も頑張ります。

今日は、いろいろと聞かせくださりありがとうございました。在校生の皆さんにとっても、とても興味あるお話だったと思います。あなたの夢に向かって、より多くの経験をされ、活躍されることを願っています。またチャンスがありましたら、お話の続きをお聞かせください。あさひ学園の関係者として、応援しています。

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