あさひ学園 - Asahi Gakuen文科省・外務省支援
ロサンゼルス補習授業校

保護者ページ

卒業生・同窓生便り

第四十三回 吉松 慶 さん

吉松 慶さん略歴
2011年度 あさひ学園トーランス校卒業
現在 ミネソタ州・メイヨークリニック(メディカルスクールの4年生)

専門医をめざす研修生

私は,あさひ学園トーランス校を2001年度に卒業しました。小学校3年生の時に渡米し,あさひ学園に編入しました。その後UCLAに進み,現在はミネソタ州にあるメイヨークリニックと言う病院で,臨床医学を勉強するメディカルスクールの4年生です。医師になるための勉強をしています。

アメリカの医学教育制度は日本とは大きく異なっています。まず一般の四年制大学に入学し,文系・理系問わず自分の好きな科目を専攻します。もし医学の道に進むと決めたら,大学3年目でメディカルスクール入学試験(MCAT試験)をうけ,4年生の時に面接試験をします。メディカルスクールは4年間の大学院です。クラスで基礎医学を学んだり,実際に病院で臨床経験も積みます。国家試験に合格し医師免許を取得すると,今度は研修医・レジデントとして働く事になります。

メディカルスクール卒業まであと10ヶ月の現在は,朝から晩まで病院で患者さんのお世話をしています。忙しい時は,朝5時には既に病室で働いています。コーヒーを片手に病院を駆け回り,昼食を食べる暇がない日もよくあります。午後には講義やプレゼンテーションなどの授業などもあり,仕事の合間に教科書で勉強します。当直などもあり,夜遅い日もありますが,家では日本のテレビをインターネットで見るのが息抜きです。

私はハイスクールを卒業した後UCLAに入学し,大好きなロサンゼルスに残る事にしました。家族は皆日本に帰国してしまい,初めての一人暮らしに戸惑いを感じる事もありましたが,楽しく大学生活を過ごす事が出来ました。最初は哲学の勉強に没頭していたのですが,あるきっかけで白血病の患者さん達をサポーツするボランティアをしました。血液ガンと言う病気は,特に若い年齢で発症する事が多いのです。今でも覚えているのは,UCLAで小学校の先生を目指していた大学生の女の子が,軽いだるさと貧血で念のために病院で診てもらったら,急性白血病だと診断されました。病状が急に進み,一年後には亡くなってしまったのです。他にも,1歳未満の赤ちゃんや若い父親なども病気になると言う,健康な自分にとって,とても衝撃的な経験でした。その様な体験が医学の道に進む理由でした

メディカルスクール卒業後は,内科,外科,小児科などの専門科を決める事になります。私は精神科医になり,こころの病気を抱える患者をサポートして行きたいと考えています。風邪や骨折などの身体的な症状を持つ患者さんは,周囲の人達も声をかけお世話をする事が出来ますが,こころの病気の場合は周りが気づかないうちに,苦しんだり,悩んだりする事がとても多いのです。まだまだ認知度や,理解の少ないメンタルヘルスに関わっていくのが,現在の目標です。

今となって気付くのは,日本語と英語を両方出来る事がどんなに貴重なスキルかと言う事です。二つの言語を喋るだけではなく,異なる文化に対する理解力や思いやりをあさひ学園で養えた事はかけがえのない財産になりました。当時は現地校と補習校の勉強に忙しく,アメリカの大学に残ると決めていたのに,どうしてあさひ学園に通わないといけないのか,と不満を感じる時もありました。しかし,頑張って卒業出来た事を本当に良かったと思っています。これからの医者としての仕事にも役立つと信じています。 皆さんも辛い事がたくさんあると思いますが,あさひ学園での一つひとつの経験は,日本,アメリカのどちらで生活するにしても,直接みなさん将来のインベストメントとなると信じています。強い信念を持ち続け,日々頑張ってください。

卒業生・同窓生便り一覧へ

PAGETOP