あさひ学園 - Asahi Gakuen文科省・外務省支援
ロサンゼルス補習授業校

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卒業生・同窓生便り

第四十一回 尾崎 冨美 さん

尾崎冨美さんは2歳半で渡米され、あさひ学園オレンジ校で中学3年生まで勉強されました。現地校とあさひ学園を両立させる過程で、バイリンガルになることの重要さを自覚され、また両国の文化を理解することに努力されました。その後、エステティシャンの仕事に巡り合い、それが自分の天職だと思い独立されました。そして、何よりも素晴らしいことは、絶えず「前へ、前へ」と貪欲に進もうとすることです。在校生には、良き手本となる先輩のひとりです。

異文化の枠を越え、日本の心でおもてなし

現在の仕事の内容

カリフォルニア州レドンドビーチ市にあるエステ・電気鍼脱毛クリニック、“O” de Kireiの代表を務めています。(www.FumiOzaki.com)
資格取得は、カリフォルニア州/ネバダ州エステティシャン免許、電気鍼脱毛免許、公認エステティック・インストラクターなど 。130年以上もの歴史を誇る鍼による永久脱毛サービスをはじめ、エステティックサービス、メイクアップサービス、法人向けスパコンサルティング、エステティシャン技術向上指導、美容関連業務通訳・翻訳などを主な事業内容としています。 施術以外の時間は、企画や広報、営業、仕入れ、予約の受付、お客様へ配信する日本語と英語によるメルマガの作成、経理、掃除、雑務など、経営者として一人で何役もこなす毎日です。更に、アメリカの美容学校で使われている教科書の改訂に伴った監修にも携わっています。
お客様の中には、日本語を話される方を含め、英語圏の方も多数いらっしゃいます。異文化の枠を越え、全てのお客様へ日本の心でおもてなしできるようなサービスを目指し、プライベートな空間のもと、一人ひとりにあった「美」のお手伝いをさせていただいています。

現在の仕事を選んだ理由

元々エステに興味を持ち、ニキビで悩んだ大学生の頃から、バイト代を月一回のエステ通いに使っていました。私たちの肌はとても不思議で、丁寧に手をかければ、この先5年・10年後の肌状態や肌年齢を守ることができます。そして人と初めて出会うとき、「第一印象は肌で決まる」とこだわり続けていたことが、現在の仕事の形となりました。
神奈川県横浜市で生まれ、2歳半の時に両親と渡米しました。「異国の地で仕事するには、手に職を持て」と、自ら職人であった父の背中を見て育ちました。就職で悩んだ頃、父の「手に職を持て」の意味が判らず、衝突した時期もありました。とりあえず大学を卒業したら、普通に会社に就職するものと思い、日英両語を活かせる総合商社に3年間勤務し、その後日系の大手美容関連会社に転職しました。転職して間もなく、東京本社の美容研修に3ヶ月間参加させていただく機会を与えられたことで、「トータル美容のスペシャリスト=手に職」を持とうと決意しました。長期で日本に滞在したのは、小学2年の夏休み体験入学以来でした。日本での生活が記憶にない私にとって、これが人生の転機でした。研修が終わり帰米した後、「会社以外の人間として通用されなくては」と思い、仕事帰りの夜間と週末に美容専門学校へ通学し、長年に渡り様々な美容資格を取得しました。資格を武器に、会社では日英バイリンガルの美容専門家として幅広く活動する機会に恵まれ、そして2012年に独立・起業しました。
美容関連の仕事に就くとは夢にも思っていませんでしたが、今迄の就職や転職、人との縁は「必然的にこうなっていた」ことが多く、そして父の「手に職」の意味が、ようやく理解できる今日この頃です。

大学や専攻科目の選択理由

California State University Fullerton のSpeech Communication (修辞学) を専攻科目で勉強しました。専攻したきっかけは、遡ること小学5年の時でした。アメリカ現地校で行われた全校生徒による弁論大会で入賞し、人前に出る楽しさを覚えました。日英バイリンガルの原点と弁論大会の経験を糧に、異文化における弁論コミュニケーションをより深く学べることに興味を持ち、社会人になっても役立つであろうと決めました。

あさひでの生活、勉強、在籍年数、思い出(楽しかったことや苦しかったこと)

当時永住組みが少なかったオレンジ校で、小学1年(1982年度)から中学3年(1990年度)まで在籍しました。あさひでの生活は色々な思い出が多く、週一回しか会えない友達との交換日記やお昼休みに食べた母の手作り弁当、図書室で借りた本、運動会、ベークセール、文集作りなどが印象深いです。そして、宿題やテストの予習にも、毎週追い込まれました。
我が家では、両親が英語が苦手な上に兄弟がなく、英語で話すことも無い為、幼い頃から止むを得ず日本語で話していました。そのお陰で、家と土曜のあさひは日本語で、アメリカ現地校にいるときは英語で、と自然に二ヶ国語をマスターできたことに感謝しています。
喜怒哀楽がはっきりしている日本生まれで、アメリカ育ちの私は、 アメリカ現地校へ行けば、アメリカ人の友達の中に溶け込み、あさひに行けば、日本人の友達と楽しく過ごしていました。 姿・形は日本人で、 日本語と英語を完璧に読み書きが理解できても、性格がアメリカンな私は、 子供ながら自らのアイデンテティーに葛藤した時期もありました。唯、ありのままの自分を受け入れ、視野を広げなければと無我夢中に突き進んだ9年間があったからこそ、あさひに通学できたのだと思います。

将来の抱負

流行やトレンド、即効性が強く求められる昨今の美容業界は、常に進化を遂げています。 誰もが幾つになっても美しくありたい気持ちに国境はないと考えます。今後も経営者として仕事に全力投球し、国境を越えて様々な分野に対応できるよう美容業界のプロとして、「美」と「最高の技術」を磨き続けていくことに執念を注ぎたいと思います。

あさひの在校生、保護者へのメッセージ

あさひとアメリカ現地校で学ぶ文化や言語を決してどちらかに偏ったり、混乱させず、家庭や学校でも、言語と異文化のバランスを両立させながらバイリンガル教育をすることが、最も重要であると私は考えます。 景気不安や失業率の増加による就職・転職が困難な時代ともいわれていますが、常に向上心を持ち、日英バイリンガルスキルと特殊技術を糧に、今後のボーダレス化、グローバル化していく社会でどう生き残れば良いのか。その重要性を考えながら、あさひとアメリカ現地校の両立に励んで下さい。そして、あさひに在籍している生徒の皆さんには、日本人としての誇りを持ち、海外に居ながら美しい日本語で読み書きが理解できる 、本当の意味でのバイリンガルを目指していただきたいと切に願います。

この卒業生便りを通じ、今後共より皆さん との絆が深まりますよう、お世話になった先生方をはじめ、在校生、保護者の皆さん に少しでも私の体験がお役に立てれば幸いです。(連絡先:odekirei@gmail.com)

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