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あさひ学園便り

3年間の任期を終えるにあたって

発行:
第473号    2026年3月7日
著者:
あさひ学園校長 西 克夫

 

 あさひ学園で過ごした3年間を振り返ると、子どもたちの学ぶ姿に励まされ、保護者の皆様や教職員の皆さんに支えられながら歩んできた日々が、私にとってかけがえのない財産となりました。海外という特別な環境の中で、日本語と日本文化を大切にしながら学ぶ子どもたちは、まさに「グローバル人材の原石」であり、その成長の過程に立ち会えたことを心から誇りに思います。

 

 着任した当初は、慣れない生活や言葉の壁に戸惑うこともありましたが、土曜日の授業日に各校を巡ることが、いつしかのが私の一番の楽しみとなっていました。教室のドアをそっと開けると、子どもたちが真剣に学び合う姿が広がり、その光景に何度も救われました。

 

 ある日、低学年の教室で読み聞かせをしている先生の周りに、子どもたちが息をのむように集中している場面に出合いました。そのとき私の袖を引っ張り、小さな声で「今いいところだよ」と教えてくれた子がいました。その瞬間、子どもたちの大切な学びの空間に私自身も迎え入れられたような気がして、胸が温かくなった瞬間でした。

 

 別の日、算数の授業を参観していたとき、黒板の前で説明を終えた子が席に戻りながら私の方を見て「校長先生、今の私の説明、わかりやすかった?」と尋ねてきました。「とてもよかったよ。理由まで言えたのが素晴らしい」と答えると、その子は照れくさそうに笑いながらも、どこか誇らしげな表情をしていました。自分の言葉で伝えようとする姿は、何度見ても心を打たれます。

 

 休み時間に校庭を歩いていると、ある高学年の子が「校長先生、日本語ってむずかしいけど、できるようになると気持ちいいね」と話しかけてくれました。「どうしてそう思ったの?」と尋ねると、「この前、作文で先生に『気持ちが伝わったよ』って言われたから」と答えました。言葉が“伝わる”喜びを自分の体験として語る姿に、あさひ学園で学ぶ意味が凝縮されているように感じました。

 

 保護者会の日に目にした異年齢交流の光景もわすれられません。高等部の生徒が小学校低学年の子どもに絵本を読み聞かせていると、読み終わった後に小さな子が「もう一回読んで」とお願いし、高校生が「いいよ、じゃあ次はちょっとゆっくり読むね」と優しく応じていました。その後の昼休みには、年齢差の垣根を超えて一緒に鬼ごっこをする姿があり、私は思わず「これこそがあさひ学園の良さだ」と心から感じました。

 

 運動会でも忘れられない場面があります。競技前に緊張している子に「大丈夫?」と声をかけると、「うん、でも負けてもいい。最後まで一生懸命に走るのが目標だから」と言い切った子がいました。結果ではなく過程を大切にする姿勢を、子ども自身が自然に言葉にしていたことに、私は深く感動しました。

 

 また、準備のために早朝から会場に向かうと、すでに数名の高等部の生徒が自主的に集まり、テントの設営や道具の運搬を手伝っていました。「校長先生、今日は任せてください」と笑顔で声をかけてくれた姿は、今でも忘れられません。競技の合間にも、小さな子どもたちの誘導や応援に回り、まさに“縁の下の力持ち”として活躍してくれました。

 

 着任当初に掲げた「ワクワク登校・イキイキ学習・ニコニコ下校」という思いは、今も変わりません。子どもたちが「また来週も行きたい」と感じられる学校であること、先生たちが「また子どもたちに会いたい」と思える職場であること。その実現に向けて、皆様とともに歩んできた3年間は、私にとって宝物です。

 

 あさひ学園で過ごした日々を胸に、これからの新しい環境の中でも初心を忘れずに精進してまいります。 最後になりますが、皆様のご健康とご活躍、そしてあさひ学園のさらなる発展を心よりお祈りいたします。

 

「フレーフレー あさひ~」

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