あさひ学園 - Asahi Gakuen文科省・外務省支援
ロサンゼルス補習授業校

保護者ページ

あさひ学園便り

パリオリンピックから感じたこと

発行:
第456号    2024年9月7日
著者:
あさひ学園校長 西 克夫

 夏休み中に開催されたパリオリンピックでは、多くの種目で日本選手が活躍する姿が見られました。そこで、今回は選手自身というより、優れたコーチ(指導者)の存在に着目してみたいと思います。

 

 私が子どもの頃、日本を代表する指導者といえばトップダウン方式による、選手に有無を言わせずに指導をするのが主流でした。スポ根と言われたアニメに出てくる指導者が、まさにそれに当たります。私自身も中学校教員になって部活動を担当した時、生徒に対して自信を持って力強い指導をしなければいけないと、気負っていたように記憶しています。

 

 しかしそのようなスパルタ指導による弊害が、いろいろ なところに表れてきました。学校では教師による一方的な指導に対して子どもたちが反発し、校内暴力やいじめ、不登校などの問題が多くなってきました。スポーツ面でも オリンピックでのメダル数が増えない状況が続き、欧米などの指導法を参考にして、見直す必要が迫られました。そこで、サッカーなどのいくつかの種目で日本代表チーム監督に外国人指導者が就くことになりました。その外国人指導者たちがまず選手に求めたものは、「自分の考えをきちんと言えるようになろう。」という指導者側からの一方通行ではない、選手一人ひとりの自主性・自立性でした。トップダウン方式の指導に慣れていた選手たちは、最初はなかなか自分の考えを言えなかったようです。そのうちに「ポジティブなことであれば、何を言っても構わない」ということが浸透し、多くの選手が自分の考えを言えるようになってきました。それまでの監督が課題を解決し指導するという方式でなく、選手と監督が課題を共有し、試行錯誤しながら解決していくことで、いろいろな状況において柔軟に対応できる選手を育成しました。

 

 同時に、選手自身に自己有用感や所属感などが生まれ、さらに力を合わせてこのチームをより良くしていこうという仲間意識が芽生えました。その結果、チームのためにどのようにすべきか考えながら主体的に行動するようになり、こうして強いチームはつくられていったとのことです。

 

 これは、学校の教育でも同じことが言えます。教師が一方的に教え込む指導ではなく、学習者(子どもたち)主体の考える授業を行うことで、思考力・判断力・表現力が向上し、詰め込まれる知識ではなく、自ら問題意識をもってその課題を解決するための生きて働く知識が得られます。そして、このような知識の積み重ねを通じて、私たちが目標にしている「自立する力」と「共生する姿勢」を身につけた子どもたちを「チームあさひ」として、育てていきたいと考
えています。

学園だより一覧に戻る

PAGETOP