2025年1月のロサンゼルス山火事は、カリフォルニア州の歴史に刻まれる甚大な自然災害となりました。尊い命が失われ、たくさんの住宅が被害を受け、そこに住む方々が避難をしなければなりませんでした。
今までもロサンゼルスでは、山火事はたびたび起きていましたが、今回のような広範囲で、こんなに長引くことはなかったかのではないでしょうか。 本学園のご家庭の中にも、避難はできたものの自宅が焼けてしまった方、避難所生活を余儀なくされた方などがいらっしゃったので、本当に心を痛めています。
日本では、パシフィック・パリセーズや近隣に住むハリウッドセレブのことが話題になっていましたが、もちろん彼らも大変な思いをされていますが、報道されない一般の方々が大多数で、その方々が人生をかけて建てた自宅が、なす術もなく燃えてしまうという状況は想像を絶します。本当に一日も早く鎮火し、生活が元に戻ることをお祈りいたします。 今回の大火災で、避難した方が書いたブログを目にしましたので、その内容の一部を紹介します。
「何度も火災警報が鳴り響いたとき、まず思ったのは『何を持って逃げるべきか』ということでした。貴重品、思い出の品、生活に必要なもの。頭の中でリストを作るものの、いざという時に冷静に考える余裕などありません。ひとまずID、鍵、水、パソコンをまとめました。そして結局、家族のアルバム、パスポート、数枚の衣類を手に取りました。その瞬間、実感しました。普段は『大切』だと思っていた物が、実際にはそこまで重要でなかったことに。高価な家具や電気製品も、その場では何の価値も持ちませんでした。火事の際に持ち出せるのは、本当に必要最低限度の物だけ。物質的な物は一番後回しになるのだと強く感じました。
また、火が富や地位に関係なく、すべてを飲み込んでいく光景を見て思ったのは、『本当に大切なものは何か』ということです。被害を受けた人々同士の助け合いの中で、金銭的に『成功した』者と『そうでない』者とかの評価基準は全く意味を持たなくなりました。バケツで水を汲んで消火活動をしている住人、火の拡大を防ぐために前線で活動している消防士、地域の避難所を運営しているボランティア、支援物質や支援金を送ってくれる人々などの存在から、真に大切なのは『人と人とのつながり』だと痛感しました。そして、たくさんの方の助け合いから感じたことは、孤立しては生きられないという現実でした。大都会の中で、隣人との関係が希薄になりがちな現代社会ですが、災害時にはそれが命綱になることを痛感しました。」
このブログは、「本当に大切なもの」や「人と人とのつながり」がいかに大切なのか教えてくれていると思います。 今回の山火事の原因として、乾燥・強風・枯れ木の存在などがあげられていますが、やはりここでも地球温暖化が影響しているようです。海水温上昇による風の動きの変化、降水量減少による乾燥等々、これらは客観的にみれば自然災害ですが、ある意味私たち人間が引き起こした人災ともいえます。犠牲になった方々のご冥福をお祈りし、また被害にあわれた方々へのお見舞いも申し上げながら、この機会に再度環境問題について、私たちも真剣に向き合っていかなければならないと痛感しております。