あさひ学園 - Asahi Gakuen文科省・外務省支援
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あさひ学園便り

始業に向けて

発行:
第409号    2020年5月2日
著者:
あさひ学園校長 平居 繁和

 今年度の人事異動によりまして,本校校長を拝命いたしました。ビザ発給停止により現在日本におりますが,皆様とともにこの難関を超えていけるように職務に精励する所存です。どうぞよろしくお願いいたします。


 私が勤務しておりました滋賀県では,全ての5年生児童が1泊2日琵琶湖の船上で学ぶ,びわ湖フローティング・スクールが40年前から実施されております。その開校式での船長の挨拶で毎回話されていることがあります。それは,「常に自然は人間の上にある。」という言葉でした。人間は,自然をコントロールしているように思っているが決してそうではなく,人間の力は自然の大きな力には到底およばない。安全への判断のためにこのことを忘れてはいけないというお話でした。毎回なにげなく聞いていた言葉が心につきささったのは,東日本大震災の津波の様子の映像を見たときでした。人間が想定した防災設備を自然の力は簡単に打ち破り多くの人びとの命を失ったのです。Covid19 におきましてもこの言葉「常に自然(ウイルス)は人間の上にある。」をしっかり心において対応しなければならないと思っております。東日本大震災の時,岩手県釜石市の3000人近い小中学生のほぼ全員が避難し,無事だったことを釜石の奇跡として報道されたことをご存知だと思います。児童生徒たちが迅速な対応をすることができたのは,防災意識を高める教育の力でした。「防災におけるファーストプライオリティは人が死なないこと,自分の命を守れる子どもを育てる必要がある。」と釜石市では群馬大学の片田敏孝教授が防災教育を指導されていたのでした。その指導内容は,1.想定にとらわれないこと。2.時間のある限り最善を尽くし続けること。3.自分が率先避難者となること。の3点です。これは,自分だけよければという考えではありません。「もし,自分が避難すればほかの人もついていくだろう。そうすればあなたはその人たちの命を救うことができる。」と信じて行動するという考えです。釜石市の中学生は避難する途中に出会う幼稚園の子どもの手をとって一緒に避難したそうです。この3つのことを標語として「津波てんでんこ」と決め広めていきました。てんでんことは,一人ひとりが率先避難者となるということです。私たちは今,Covid19 に対して自分の命,子どもの命,みんなの命を守るためにこのことを実践しなければならないのではないでしょうか。「コロナてんでんこ」私たち大人の姿から子どもたちを育てていきたいと思います。


 5月9日からあさひ学園は,開校への第1歩である始業式・入学式をインターネットを通じて行います。皆様のご理解とご協力をいただき,今の最善を尽くしていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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