縁あって アメリカで暮らすことになった私は、この国ですばらしい発見をしました。それは、普段意識せず使っている日本語こそ、私の大きな財産であると気付いたことです。
私にそのことを教えてくれたのは、娘の小学校で知り合った中国系アメリカ人の女性でした。
その頃、私は学校行事のボランティアをしていましたが、その都度バックグランドの違い、英語の弱さをヒシヒシと感じ、活動に参加するのがだんだん憂鬱になっていたのです。
そんな私に、彼女は言いました。「こう考えたらどうかしら。『私は英語ができません、ではなく、私は日本語ができます』って。できることを考えた方が人生楽しいわ。アメリカには英語ができる人はゴマンといるけど、日本語がわかる人は少ないの。つまりあなたは日本語という貴重な財産を持って、ここにいるってこと。自信を持つことよ」
驚きました。この発想。でも考えようによっては、その通りです。私も根が単純ですから、この言葉を聞いたとたん、英語の弱い現実はなんら変わっていないのに、憂鬱は吹っ飛んでしまいました。それからは自分が持っているものを生かして、私に何ができるかを考えるようにしました。
そうして、めぐり合ったのがあさひ学園の教師の仕事です。日本語で思う存分仕事ができる。これは新たな喜び、そしてチャレンジでした。
はじめて受け持ったのは小学2年生。新米の私は、帰りの会で「ゴミを拾いなさい」と声を張り上げるばかり、でもみんな聞いてくれません。困ってしまいました。すると女の子が「先生、集めたゴミは お米になるんだよ、袋に集めよう」と言ったのです。するとどうでしょう、みんなが一斉にゴミを拾い始めたではありませんか。硬かった私をほぐしてくれたあの子達は今ハタチ。子ども達から教わったものは数知れません。
その後は小・中学部の理科専科。今年度は小4と5を担当しています。授業はわかりやすく、楽しく、そしてテンポよく、を心がけていますが、ハテサテそれが達成できているかは子ども達に聞いてみないとわかりません。特に、小学部では子ども達に理科を好きになってもらうことが、担当教師としての役目だと思っています。私自身、子どもの頃から理科が大好きでした。多分それだけで学校に行っていたのかも知れません。一日中理科の時間ならいいなぁ、と思っていたのですが、なんと今は、一日中理科をやっているようなもの。面白いものです。子供たちにとって好きと言える教科が一つでもあれば学校が楽しくなります。例え、他の学校に転校することになっても心強いものがあると思うのです。
その他、教科以外に主事補としての仕事があります。その一つが学校行事の運営です。学期ごとの始業式、終業式、入学式、卒業式、運動会等があります。例えば卒業式、あさひ学園では日本式の厳粛な雰囲気の中で卒業証書授与を行います。卒業生一人一人が名前を呼ばれ、「はい」と返事をし、壇上に上ります。左足から、左手からと自分に言い聞かせながら、一歩一歩進む卒業生。清々しい緊張感と、それを見守る在校生。勿論、彼らはアメリカ式の拍手や声援のあふれるセレモニーの方に馴染んでいるでしょう。が、ここは「あさひ」、卒業生も、在校生もその場に合った対応ができている。つまりそれぞれの文化を尊重しているのです。これこそ国際感覚が身についた子達だと私は思います。
行事は 児童・生徒、職員、保護者の心を一つにする貴重な場面です。あさひ学園ならではのものではないでしょうか。それに関わることができ、私は幸せだと思っています。
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