学園生活
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先生の紹介 中野真弓
サンタモニカ校 中1学年主任 中野真弓

 「おはようございます。」誰もいない教室に向かって,大きな声で挨拶をする。黒板に日付,週番の名前を丁寧に書く。「学期目標」「クラス目標」「時間割表」を貼る。机を直す。教室中を見渡す。「これでよし。準備万端。さあ,今日もがんばるぞ!」と自分に気合いを入れる。

中学部の国語を担当して四年が過ぎようとしている。中1の担任と国語。中3の国語を担当している。それ以前は,7年間で小学部1・2年を除くすべての学年の経験をさせていただいた。「生徒の最大の教育環境は親と教師である」と考える私は,「自分がまず学ぼう,一緒に経験しよう。そして,生徒一人一人を大事にし,丸ごと受け入れよう」と思い,接している。金子みすゞの詩「わたしと小鳥とすずと」の「みんな違ってみんないい」である。みんなが一斉に同じハードルを跳ばなくても良いと考えている。生徒を知ること,そのためには私自身を知ってもらうことから。友情をテーマにした教材,出会いについての作品では私自身の経験も話す。もちろん多くの失敗談も。そのままの私を知ってもらう。

休み時間。生徒たちが一人二人と私の周りを囲む。時折,自慢の腕相撲をする。まだまだ中1には負けないつもりだが,最近2,3人の男子には負けてしまうことがある。「たくましくなってきた」と成長の一端を垣間見る思いである。

昼休み。1週間どんなことがあったか。テレビ番組の話,流行歌の話,とりとめのない話が続く。見えなかった生徒たちの一面が顔を出す。 授業中。サラサラとワークシートの上を走らせる鉛筆の音が聞こえる。朝から表情が気にかかっている生徒の傍らに立ち,小声で一言様子を聞く。「大丈夫だ。」

放課後。11月から一人10〜15分の時間を設定して,希望者との三者面談を行っている。家庭でのこと,宿題状況,現地校のことなどなど。 「中学生時代」は,生徒から大人になる曲がり角にいる最も大切な時期だ。何でも吸収し,行動しようとする。また,時には批判的な部分も見られる。純粋な熱情にあふれ,理想を抱き,大きな夢を持つこの時期に,彼らと関わることができ幸せに思う。「国語」という授業を通し,先人たちの言葉に触れ,感動し,それらの気持ちを共感することのできるすばらしさ。ことわざや慣用句に触れ教訓を得る。言葉の持つ魅力に迫る。作者の息づかいを行間から読み取る。生きる知恵が,勇気が,力がわいてくる。教室がそんな場になれたら良いと思う。少しでもこれからの彼らの未来に関わることができたらと思う。そういう意味でも,もっと私も学び,成長していかなくては。

我が家に二人の娘がいる。長女は昨年高等部を卒業した。彼女は卒論が期日に間にあわず悪戦苦闘していた。しかし,インターネットを駆使し,図書室から借りてきた本を山ほど積み上げ120枚の原稿を書き上げたときの表情は,今も忘れない。次女は中2。日本が大好きだ。昨年の夏も体験入学をし,日本の部活動を経験してきた。我が子を通じ,いかに現地校との両立が大変かを知る。そして,「あさひ学園」の存在がいかに大きいかを実感する。

帰りの会。一日の授業を終えた生徒たちの表情がゆるむ。今月の唄「雪と子ども」を歌う。来月は,生徒のリクエストで,「3月9日」を歌う予定だ。

「さようなら。」「風邪を引かないように。」「日曜日楽しんでね。」私の声を背中に教室から飛び出して行く生徒たち。誰もいなくなった教室の椅子に座る。「ここは○○さん。」「今日の国語の授業分かったかな。」「少し難しかったかもしれない。」「疲れた顔をしていたけど大丈夫かな。」一人一人を思い浮かべてみる。そして,生徒の目線から教壇を見る。

「今日も一日,無事故で終わった。」

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