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あさひ学園便り
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【第270号 2007年9月8日】

子どもは社会を映す鏡

あさひ学園校長 秋山 浩一

 財団法人日本青少年研究所によって,日本・中国・韓国の小学生を対象とした学習意欲調査が行われ,その結果が発表されました。この調査は,3ヵ国の首都に住む小学校4年生から小学校6年生を対象に,日本青少年研究所が,通学先の小学校を通して質問紙法により調査したもので,約5千人の小学生から回答が得られたそうです。その調査結果によれば,日本・中国・韓国の子どもたちの,学習を巡る意識に大きな違いがあることがわかりました。また,日本では,学力低下が問題となっていますが,中国・韓国に比べて「学力」以前の「学習意欲」の低さも浮き彫りになりました。

◎親からよく言われることを問う質問に対して,以下のような回答結果が出ています。
@「先生の言うことをよく聞きなさい。」
【あまり言われない】 日本54% 中国29% 韓国26%
A「親の言うことをよく聞きなさい。」
【あまり言われない】 日本51% 中国31% 韓国26%
◎めざす人間像を問う質問に対して,以下のような回答結果が出ています。
@「勉強のできる人になりたいですか。」
【そう思う】  日本43% 中国78% 韓国78%
A「将来のためにも,今がんばりたいですか。」
【そう思う】  日本48% 中国75% 韓国72%
B「先生に好かれる子になりたいですか。」
【そう思う】  日本10% 中国60% 韓国48%
C「宿題は,親に言われなくても自分から進んでやりたいですか。」
【進んでやる】 日本42% 中国83% 韓国37%

 また,日本・米国・中国・韓国の高校生を対象に行われた意識調査でも,「偉くなること」への意識として,米国・中国・韓国では「能力を発揮できる」「尊敬される」といった肯定的なイメージを持つ生徒が多かったのに対して,日本の高校生には「責任が重くなる」「自分の時間がなくなる」といった否定的なイメージが強く持たれているようです。

 この結果から,日本の子どもたちには,将来の夢の実現に向けた,「学ぶ意欲」が低くなっていること,「教師への関心」や「尊敬の念」が薄れていること,「自らを律して主体的に取り組む姿勢」に乏しいこと,等を指摘する声があります。東京大学の佐藤学教授(教育学)によれば,「昭和30年代後半からの高度経済成長期には『勉強すれば,いい仕事に就くことができ,恵まれた生活ができる』という関係が成り立っていたが,低成長時代の今はその関係が崩れてしまっており,そのことが学ぶ意欲の低下につながっている。また,大人への信頼や大人の権威が崩れ,大人が子どもの良きモデルになっていないために,子どもたちは目標を見失い,さまよっているのではないだろうか」とおっしゃっています。

 「子どもは社会を映す鏡である」とも言われています。私たち大人は,とかく「近ごろの若者は…」とか,「近ごろの子どもは…」と言いがちです。しかし,私たち大人には,子どもたちに夢を抱かせ,その夢の実現に向けて努力することの大切さを,身をもって示す責任があると考えます。数年前に放送されていたNHKのテレビ番組「プロジェクトX」に登場した先人たち,日本の高度経済成長を支え,今日の繁栄を築く原動力となった幾多の偉大な先人たちのあとを継ぐべき今の大人たちが,子どもたちの良き手本となるよう,しっかりしなくてはいけない時期に来ているような気がします。


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