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あさひ学園便り
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【第275号 2008年2月2日】

節分

あさひ学園校長 秋山 浩一

平成20(2008)年2月4日は二十四節気のひとつ「立春(りっしゅん)」にあたり,その前日が「節分(せつぶん)」となります。節分では,みなさんのご家庭でも,無病息災(むびょうそくさい)を祈念しつつ「オニハーソト,フクハーウチ」と唱えながら豆まきをしたり,年の数だけ大豆を食べたりするのではないでしょうか。

さて,この節分につきものの「オニハーソト」ですが,なぜ「鬼は外」なのでしょうか。鬼は災いをもたらす悪者と決まっているからでしょうか。そんな疑問を感じた私は,文献で調べてみました。すると,日本各地には,「オニハーソト」以外の表現や,「オニハーウチ」と唱えている地方があることなどが分かりました。鬼子母神(東京都)…「福は内,悪魔外」,鬼鎮神社(埼玉県)…「鬼は内,福も内,悪魔外」,元興寺(奈良県)…「鬼は内,福は内」,村田町(宮城県)…「鬼は内,福も内」等々,それぞれの寺社や地区には,そのように唱える由来が伝わっています。また,福島県の二本松地方では,「鬼は外」と言わないそうです。これは,江戸時代にこの地方を治めた二本松藩は丹羽(にわ)氏が殿様だったので,「鬼は外」言うと「お丹羽外」になってしまうからだそうです。

 ところでみなさん,「泣いた赤鬼」という話をご存じでしょうか。

   昔昔,山奥に一人の赤鬼が住んでいました。彼は人間と仲良くしたいと願い,村人に対して,「自分は心のやさしい鬼です。おいしいお菓子やお茶を用意しています。いつでも遊びに来てください。」と呼びかけていました。でも,誰も遊びに来てくれません。悲しんでいると,友だちの青鬼がやって来ました。話を聞いた青鬼は,「ぼくが村に行って大暴れするから,君が僕をこらしめるんだ。そうすれば,村人は君のことを信用するよ。」と言いました。
   赤鬼は,青鬼の言うとおりにしました。すると,村人たちが,赤鬼のところに遊びに来るようになり,赤鬼はとても喜びました。しかし,日がたつにつれて,赤鬼には気になる事がありました。それは,あの日から訪ねて来なくなった青鬼のことでした。
   ある日,赤鬼が青鬼の家を訪ねると,赤鬼宛の張り紙がありました。「赤鬼君,村の人たちと仲良くなれて良かったね。僕も君と遊びたいけど,僕と一緒にいるところを村人に見つかると,君も悪い鬼だと思われるから,僕は旅に出ます。赤鬼君へ,僕はいつまでも君のことを忘れません。体を大事にしてください。さようなら。どこまでも君のともだちの青鬼より。」
   だまってそれを何度も読みかえした赤鬼は,戸に手をかけ,顔を押しつけて,涙を流して泣きました。

 私たちは,大人でも子どもでも,物事が自分の思い通りにならないと,つい,まわりの誰かのせいにして,不満ばかりを口にしたり,他人を責めたりしがちです。とくに,10代のころは,格好をつけたがる気持ちから,本当の心とは反対の方向に自らの思いや態度を向けてしまうことがあります。そんな時は,自分で自分の心の中に「災いをもたらす悪い鬼」を作り出しているのです。

 本当は誰もが赤鬼君や青鬼君と同じように,優しい心を持っているはずです。青鬼君のように,人のために何かしたいと思う「人間愛」や,赤鬼君のように,あとからでも人の優しさに気づくことができる「他者理解」の気持ちを持っているのです。不平や不満を言うよりも,時には自己犠牲もいとわずに,人のために行動できる人の素晴らしさを知ってほしいと思います。

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